2018年2月10日土曜日

『Webアクセシビリティの学校 in 東京』 に参加しました

写真:会場のイメージ

2月3日(土) に開催された『Webアクセシビリティの学校 in 東京』に参加してきました。

インフォクシアさんがWebアクセシビリティのビギナー向けに開催しているセミナーで、全国各地で開催されています。今回は2年ぶりの東京開催だったそうです。

セミナーは学校の時間割のように4時間構成になっていて、前半2時間分はWebアクセシビリティの概要、後半2時間分は実際のWeb制作における基本テクニックを紹介するという内容でした。

講師はインフォクシアの植木さん。
私は一昨年の『shift』(css niteさんのイベント)で初めて植木さんの講演をお聞きしてWebアクセシビリティに興味を持って、「Webアクセシビリティの学校」に参加したいとその頃から思っていたので、今回は念願叶って参加できてよかったです。

↓当日の配布物。お菓子をいただるという心遣いがうれしいo(・ω・。) (※1)

写真:当日配布されたもの。WebアクセシビリティについてのA4サイズの印刷物や、うまい棒やチョコレートなどちょっとしたお菓子が配布されました

Webアクセシビリティは難しい?

Webアクセシビリティに対して「自分には関係なさそう」「なんか難しそう」と考えるWeb制作関係者はまだまだたくさんいるのではないかなと思っています。
なぜそう思うのかというと、今回のイベントの参加者数が上限に達していないからです…!東京開催なのに…!東京開催なのに!速攻売り切れになるんじゃないかとヒヤヒヤしてたのに!

「自分には関係なさそう」「なんか難しそう」と考えている方にこそこのセミナーに参加してほしくて、話を聞いた後にWebアクセシビリティに対する意識がガラリと変わると思います。
Webアクセシビリティはみんなに関係あることで、なおかつ簡単に始めることができるんです。

みんなに関係あるWebアクセシビリティ

前半は世界のWebアクセシビリティ事情や、アクセシビリティの概要などについてご説明いただきました。

Webアクセシビリティは「障害のある人がWebを使えること」と初めは定義されていました。
しかし、高齢者も障がい者のように加齢とともに能力が変化する(見えづらいとか聞こえづらいとか)ため、高齢化社会の進む日本でWebアクセシビリティのJIS規格に「高齢者」という言葉が追加されたそうです。

また、ここ数年でユーザーが情報にアクセスする手段や状況が多様化してきています。
数年前まで存在してなかったデバイスが登場したり(たとえばスマートウォッチとか)、それをどんな場所で見ているのかも様々です。
たとえば日が照ってる眩しい屋外ではスマホの画面は見えづらいですし、電車で動画を見ようしたときにイヤホンがなければ音を聞くことができません。
多様化した状況の中で、見えづらい・聞こえづらい・操作しづらいなどということは一時的に誰にでも起こりうることなんです。なので、WebアクセシビリティはWebを閲覧するみんなのためのもの、というのが最近は一般的な考え方になっているそうです。(インクルーシブデザイン とも呼ばれます)

ユーザー目線でアクセシビリティを考えるということはUXやUIを設計するのと少し似ているのでと個人的には感じて、たとえばユーザーがどういう状況のときにこのサービスを使うのかとか、このボタンは押しづらくないか、などと、Webサイトなどを制作する時にはユーザーのことを考えて設計すると思います。
それと同じようなことを少し考えてあげるだけで、多くの人がコンテンツを閲覧することができる、アクセシブルな状態になります。

いま自分は特にあまり不自由することなくコンテンツにアクセスできていますが、たとえば老眼になったり(老眼人口は日本で7000万人もいるのだとか!)、耳が聞こえづらくなったり、身体の状態が現在も未来も同じであるとは言えないと思います。
それでも今までと同じように情報にアクセスしたいときに、Webアクセシビリティに配慮していれば支援ツールを使って情報にアクセスすることができます。(※2)

こういった理由から、障がい者に配慮することをはじめとして、高齢者や健常者などみんながWebサイトにアクセスできることが大切なんですね。

簡単に始められるWebアクセシビリティ

後半は、実際にどういうことを実施していけばいいのかという具体例をお話ししていただきました。

具体的な項目をここに書くことは避けますが、本当に簡単にはじめられるものばかりです。セミナーでは10項目を教えていただきました。

Webアクセシビリティに配慮するということで一番大切なのは、マシンリータブルであることです。
マシンリーダブルであればブラウザやその他の支援ツール等がコンテンツを解釈でき、結果的に多くの人にコンテンツを届けることができます。
このマシンリーダブルというのはWeb制作時にすごく特別なことをしなければいけないというわけではなく、ページの構造をきちんと考えるとか、見出しを適切につけるとか、画像文字は使わないようにするといった、とても基本的なことが多く含まれています。

JISの規格にあるような厳格なWebアクセシビリティは、全てのWebサイトで実施するのは難しいと思います。
でも、厳格な規格に乗っ取らなくても、少しずつ自分たちができるWebアクセシビリティを実践していくことはできます。そういう小さいな積み重ねをすることで、コンテンツを多くの人に届けることができるんですね。

まとめ

私は独学でアクセシビリティのことを勉強してきたのですが(※3)、セミナーを聞いて知識がさらに深まったので、参加できて本当に良かったです。
今回はアクセシビリティに対して興味関心が高い方が多く参加していたように思うのですが、アクセシビリティに苦手意識を持ってたり興味が薄いという方にすごく参加してほしいセミナーです。

個人的に良かったところ

  • 説明がすごくわかりやすい
  • 少人数で講師との距離が近い
  • フォローアップが充実

3番目のフォローアップは参加者の質問に植木さんが答えてくれるというもので、すでに20以上の質問に答えてくださっているのですが、これが本当にありがたいです。。すごく勉強になるし、フォローアップだけでセミナーのお値段以上の価値を感じています。

次回は長野で4月21日に開催されるそうなので、長野近郊の方はぜひ行って…ほんとうに…!という気持ちです。全力でお勧めします。
Webアクセシビリティの学校 in 長野

当日紹介されていた書籍


(※1) 一番手前の「Web Accessibility FOR Designer」という紙は、高知のデザイナー間嶋沙知(@mjmjsachi)さんが作成されたポスターだそうで。
オリジナルの英語のページを日本語訳してまとめられたみたいです。
すごい素敵…!めっちゃ嬉しい。
Web Accessibility for Designers (英語版のオリジナル)

(※2)ちなみに障がい者の方がどうやってWebサイトを閲覧しているのかは、セミナー中にも紹介されていた総務省のビデオがとても勉強になります。
総務省|情報バリアフリー環境の整備|障害者のウェブページ利用方法の紹介ビデオ

(※3) スライド読んだりJIS規格を読んだりとかそういう程度です。。自分で勉強して書いた記事も貼っておきます。恥を忍んで。。